災害は他人事ではない!
皆さんは災害と住まいについて考えたことはありますか?このサイトでは、私の住まい探しや災害ボランティアの経験を通して考えた、災害被害に遭わないための住まいの選び方や、災害に遭ってしまった時の生活についてまとめました。皆さんのお役に立てれば幸いです。
土砂災害の次に頻度が高い自然災害が洪水です。全国的に治水工事が進み、近年では洪水による浸水被害は少なくなっていますが、治水工事で想定する基準より雨量が多くなると堤防が決壊して、広い範囲で浸水することがあります。
2013年9月に日本列島を縦断した台風18号では近畿地方を中心に記録的な大雨となり、初めて大雨の特別警報が発表されました。その中でも京都府福知山市では市内を流れる由良川の堤防が決壊し、広い範囲で浸水被害を受けました。その1週間後に私は災害復旧ボランティアとして福知山市を訪れました。被害を受けた地域は由良川に近いところが多く、堤防が決壊した付近では3m以上も浸水していました。
また、昨年9月に関東や東北で発生した集中豪雨では、茨城県常総市を流れる鬼怒川の堤防が決壊して市内の広範囲で浸水しました。この浸水被害では「川から近い」以外の2つの要因で浸水被害が大きくなりました。
1つは決壊した堤防の高さが周辺より低かったことです。今回、決壊したところでは数年前から建設業者がソーラーパネルを設置するために、市役所の許可を得てから堤防の土を削っていたようです。そのため、その地点だけ濁流に対する耐久性が低下して決壊につながりました。局地的に堤防の高さが低くなっているところは全国各地にあります。例えば、道路や鉄道の橋は堤防より高い位置に架けなければいけないため、橋と道路の周辺との間に高低差ができてしまいます。この高低差は少しでも小さくするために、一部の橋では堤防を少し削って建設されたところがあります。そうなると常総市のような堤防の決壊が起きてもおかしくはありません。1ヶ所でも堤防が決壊すると浸水被害は大きくなるので、耐久性の低い堤防がない河川に挟まれた地域が安全と言えます。
もう1つは堤防からあふれた水が決壊した地点より標高が低い場所に流れることです。常総市の場合、堤防が決壊したのは市の中心部より上流の地点でした。しかし、堤防が決壊してから2日後に5kmほど離れた中心部に水が押し寄せました。堤防からあふれた大量の水がゆっくりと標高の低い中心部に流れてきたのです。これによってそれまで浸水被害のなかった地域も被害を受けました。川からの距離だけでなく、川との高低差も洪水の被害を受けないためには重要になってきます。