地震の被害を抑えるために知っておきたい知識

毎年、日本のどこかで災害が起きているからこそ

災害と住まい

災害は他人事ではない!

災害は他人事ではない!

皆さんは災害と住まいについて考えたことはありますか?このサイトでは、私の住まい探しや災害ボランティアの経験を通して考えた、災害被害に遭わないための住まいの選び方や、災害に遭ってしまった時の生活についてまとめました。皆さんのお役に立てれば幸いです。

地盤の硬さと建物の耐震性能がカギ

地盤の硬さと建物の耐震性能がカギ

地震はいつ、どこで起きるかわからない

地中に存在する活断層はかなり研究されてきたものの、いつ・どこで・どれくらいの規模の地震が起きるかを事前に予測するのは困難です。また、日本のどこにいても強い揺れの地震に襲われる可能性はあり、過去の記録を過信することもできません。
地震で最も被害が大きいのは建物の倒壊です。今年4月の熊本地震では8,000棟以上が全壊し、26,000棟以上が半壊しました。地震による建物の被害は一戸建てに多いイメージが強いですが、地震の揺れの種類によってはマンションや高層ビルが倒壊する危険性もあります。

地震の被害を避けるためのポイント

地震による被害を受けないための住まい選びで注意すべき点は2つあります。1つは地盤の硬い場所を選ぶことです。震源から遠いにもかかわらず、震源に近い地域よりも震度が大きいことがよくあります。これは地盤が弱くて地震の揺れを受けやすいためです。地震計があるところだけ局地的に地盤が弱いこともありますが、そのようなことはまれです。地盤が弱い地域に共通する特徴して、土砂が埋められてできた地形が挙げられます。例えば、川の上流で削られた岩石が、川の流れで砂や泥になって下流で堆積してできた平野は、土のグラウンドを足で踏むとへこむのと似たような感じで地盤が柔らかくて弱いです。また、海岸の埋立地も沖積平野よりも砂や泥の粒が大きく、さらに地盤が弱くなります。そのため、地震で液状化現象が起きやすく、建物が傾く被害がよく起きています。一方で台地や丘陵地は土砂が長い時間にわたって押し固められているので地盤が硬く、揺れにくいです。
もう1つが耐震性能の高い住まいを選ぶことです。熊本地震ではあらゆる種類の家屋が被害を受けたわけではなく、耐震性能が低い昔ながらの家屋ばかりが被害を受けていました。では、何を基準に耐震性能を判断すればいいのでしょうか。簡単な方法として、いつ建物が建てられたかを調べることがあります。住宅の耐震基準を定めた建築基準法は1950年に制定されましたが、1978年に起きた宮城県沖地震では当時の耐震基準で建てられた多く家屋が被害を受けました。そのため、1981年に建築基準法が改正されて、それ以降に建築許可を得た建物の耐震基準が厳しくなりました。つまり、この新しい基準で建てられた建物は比較的地震に強い建物だといえます。ただし、1980年に建築許可をもらって1982年に建てられた建物は古い耐震基準のままなので、注意が必要です。さらに、阪神・淡路大震災が起きた後の2000年にも建築基準法が改正されて、木造家屋では木材をつなげる金具や壁の配置まで規定されるようになりました。近年では耐震強度偽装事件などを受けて建物の検査方法も厳しくなっているので、自分の住まいの耐震強度を1度チェックされてはいかがでしょうか。

耐震・免震技術の進歩

また、最近では地震の揺れで建物が被害を受けないようにする技術だけでなく、建物が地震の揺れを受けないようにする技術も進みました。大学生のときに某大手ゼネコン会社の技術研究所を見学したことがありますが、地震の揺れを感知すると建物の基盤が地震の揺れと逆方向に動く装置が展示されていました。実際に、震度4以下の地震では揺れはほとんど感じず、東日本大震災で近くの地震計で震度5強を観測したときも震度3ぐらいの揺れしか感じなかったようです。この技術はビル用に開発されていますが、将来的にあらゆる大きさの建物に普及すれば、地震で家屋が倒壊して人が下敷きになる被害は避けられると期待しています。