避難所はストレスがたまりやすい環境です

毎年、日本のどこかで災害が起きているからこそ

災害と住まい

災害は他人事ではない!

災害は他人事ではない!

皆さんは災害と住まいについて考えたことはありますか?このサイトでは、私の住まい探しや災害ボランティアの経験を通して考えた、災害被害に遭わないための住まいの選び方や、災害に遭ってしまった時の生活についてまとめました。皆さんのお役に立てれば幸いです。

避難生活について(#令和6年4月更新)

避難生活について(#令和6年4月更新)

避難所の実際の姿

熊本地震の復興ボランティアとして救援物資を届けるために、最も多くの被災者が避難している益城町の総合体育館に訪れました。避難所となっている学校の体育館が地震で使えない状態のため多くの被災者が総合体育館に集まっていましたが、建物の中の空気はかなりよどんでいて、体調を崩して手当を受けている人も多くいました。
まず、避難所に指定されている施設は地震の揺れに耐えられる構造にするべきす。耐震基準に満たない施設は避難所の指定から外し、早急に耐震工事をしたり、現在の耐震基準に沿った建物を建設するなど、国と自治体が一体になって推し進めるべきだと思います。また、長期間の滞在を想定して、建物は通気性を考慮する必要があると感じました。
私が避難所に訪れたときは全国各地から救援物資が届いて避難生活に不自由はありませんでしたが、地震発生から2~3日は食料や水がかなり不足していたようです。交通網のマヒなどで救援物資が届くのに時間がかかるので、日ごろから非常事態に備えた食料や物資の備蓄が重要になってきます。
避難所はプライバシーが確保されない不自由な集団生活であるため、避難所で生活する人の多くは強いストレスを感じています。避難生活が長引くとストレスも蓄積され、健康にも大きな支障をきたします。

「災害関連死」「震災関連死」とは?(2019年7月8日追記)

「災害関連死」「震災関連死」という言葉をご存知でしょうか?避難生活によって過労、体調悪化などが原因で亡くなる事を指します。トイレを我慢するために水分接種を控えたり、車中泊によるエコノミー症候群など循環器疾患、心臓病、脳血管障害をはじめ、換気不十分による肺炎などの呼吸器疾患、慣れない生活による身心ストレス、また持病のある人は処方薬が欠かせませんがそれが足りず悪化したりと、様々な要因があります。
熊本地震では、地震で命を落とした人よりも、その後の「震災関連死」で亡くなった人の方が多いと報告されています。
復興庁のサイトには2011年3月に発生した東日本大震災の災害関連死の死者数の統計が公開されていますが、2019年3月31日時点で3,723人の方が亡くなっています。言い方を変えれば、3,723人の方は地震に助かりました。しかし、その後の避難生活などが原因で3,723人の方は亡くなったということです。また、統計開始を開始した2012年3月31日時点の死者数は1,632人でしたが、2倍以上増えているのも見逃せません。東日本大震災が発生してから8年経った今でも苦しんでいる人がいる事実。「災害関連死」「震災関連死」これは本当にあってはならないことです。
1人でも多くの人が避難所でも肉体的・精神的に健康な状態を保つために、事前に対策をしなければならない局面に差し掛かっているといえるでしょう。

「スフィア・ハンドブック」を読んでみて(2019年10月24日追記)

熊本地震が発生した後、テレビでスフィア基準の報道がありました。スフィア基準は1998年に誕生し、2011年に日本語訳が出て、現在2018年版パンフレットがPDFで公開されています。今回2018年版パンフレットを読みましたが、これからボランティアに行かれる方はぜひ読んで欲しいと思い、ここに投稿しました。
表紙には『スフィアハンドブック/人道憲章と人道支援における最低基準』と記載されており、パンフレットの表紙に記載されている『人道』は人として守るべき道、すなわち命、健康、尊厳を守ることを指します。
スフィアハンドブックには
・災害や紛争の影響を受けた人びとには、尊厳ある生活を営む権利があり、従って、支援を受ける権利がある。
・災害や紛争による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならない。
と記載されています。『実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならない。』この項目は非常に共感でき、私自身も困っている人の助けになりたいという強い気持ちで支援に向かいました。しかし、『尊厳を守ること』『尊厳ある生活を営む権利』など、『尊厳』という言葉にはっと気づかされたのも事実です。困っている人の助けになりたい。その気持ちで現地へ行き、行動してきましたが、スフィアハンドブックを読んで意識が変わりました。正直、これまでやってきたボランティアは「自分がやりたいことをやって支援」でしたが、本当に大切なのは「現地の人が、人として当たり前の生活を送れるように尊重し、そこに向かって支えること」だと気付きました。
ハンドブックの『スフィアとは』の次ページに図が掲載されているのですが、『人道憲章』を頂点に『権利保護の原則』『人道支援の必須基準』さらに『給水、衛生および衛生促進』『食料安全保障と栄養』『避難所および避難先の居住地』『保険医療』へと線が引かれています。シンプルな図ですが、支援の基本・本質を表している、とてもいい図です。
私がこの図を見て、被災地でこれが守られているか?と振り返りましたが、なかなか難しいというところが正直な意見です。しかしこれは誰が悪いということではなく、皆必死に、その時にできることを一生懸命にやっています。
今はスフィアハンドブックが無料で公開されています。インターネットを使える環境であればいつでもアクセスして閲覧できるので、ボランティアに関わる人は一度目を通して欲しいです。スフィアハンドブックを読んでから現場に入れば、これまでとは違った質の良い支援ができるでしょう。ハンドブックはページ数が多く、全部読むのに時間がかかりますが、読んで損はありません。
このスフィアハンドブックは更新されています。我々ボランティアも支援の内容・質を更新する必要があると思います。
スフィアハンドブック2018日本語版はこちら

https://jqan.info/documents/sphere_handbook

災害時も協力して性加害から身を守りましょう(2024年4月2日追記)

阪神淡路大震災や熊本地震など、大きな災害が発生した際には避難所に多くの人が押し寄せます。多くの人が我慢をしながら生活をする避難生活においては、性加害や痴漢被害などが発生しても声を上げづらく、周囲に訴えることを我慢したという経験も聞かれます。プライバシーが確保されづらい避難所という空間の中で、いかに自分や家族の安全を守るのか、性加害が起こらない環境を整備するのかは、非常に重要な問題です。性被害の防止には授乳室や男女別の更衣室やトイレ、さらに保健室や女性が安心して過ごせる女性専用スペースなどの環境整備が効果的だと言われています。実際に、東日本大震災当時には、更衣室などに間仕切りが設けられたり、性加害への注意を促すチラシが各所に設置されたり、巡回が行われたりと、男女ともに協力して被害を防ぐ取り組みがされました。災害に遭ったという、不安が続く状況でも、犯罪から身を守る策はみんなで考えなくてはいけません。避難生活の課題が多いなか、性加害防止策は後回しにりがちですが、安全に避難生活を送るためには必要不可欠な要素です。日頃から、もし災害に遭ったときに、自分や家族の身の安全をいかに守るのか、もし被害に遭いそうになったらどうするのかをしっかりとシミュレーションしておくべきだと言えます。